電子状態でみた導体、絶縁体、半導体
食塩水などのイオン溶液など若干の例外はありますが、電気を伝えるものは原則として電子です。
ただし電子はマイナスの電荷を持つので、電子流の向きと電流の向きとは反対になりますが。
多くの金属が導体である理由は、金属原子の中の最外殻の電子が、個々の原子にひっぱられることなく、自由電子として動きまわれるからです。
もう少し正確にいうなら、電気のわずかなエネルギーにより、自由に動ける高いエネルギー準位に簡単に移れるからです。
一方絶縁体というものは、自由に動ける電子のエネルギー準位がきわめて高く、通常の電気的エネルギーではそのためのエネルギーを供給できないという状態です。
それでは半導体はどうなっているのでしょうか。
基本的には、そのエネルギー準位がやや大きいということです。
そのため、何もしなくてもある程度の導電性が確保されるのです。
しかしそれだけではつまりません。
もっと積極的にコントロールすることができます。
そのために使われるのが不純物です。
たとえばIVB族元素であるシリコンの結晶に、リンのようなVB族元素を少量添加すると、シリコン原子の一部がリン原子に置き換わるのですが、リンは最外殻に5個の電子を持つので、その1つが共有結合構造の中で余ります。
それが自由電子候補となるのですが、その自由電子のエネルギー準位添加物のエネルギー準位とが近く、かなり容易に移れます。
その結果、自由電子がキャリアとなる半導体となります。
これをn型半導体といいます。
一方シリコンにホウ素のようなIIIB族元素を少量添加すると、シリコン原子の一部がホウ素原子に置き換わるのですが、ホウ素は最外殻に3個の電子を持つので、共有結合構造には1つ不足します。
それは本来のシリコン結晶の電子でおぎなわれるので、結局その電子不足状態(正孔)がキャリアとなる半導体となります。
これをp型半導体といいます。
同じシリコンに別々の不純物を加えることで、電子がキャリアとなるn型半導体も、正孔がキャリアとなるp型半導体も作れるわけです。
そしてこの2種類の半導体を組み合わせることで、1章で述べた整流作用や増幅作用が実現できるのです。


