ファブレスとEDAとDFM

14章でASICを設計する基本的な手順を紹介しました。

そして「あとは実際の製造に入る」と述べました。

ユーザの目的に特化したASICでなく、メーカーが新たにデジタルICを製作する場合でも、似たような設計は当然最初に行われます。

本資料の後半では、そういった設計の後、実際に半導体デバイス(特にデジタルIC)を製造する方法について説明します。

半導体の製造には巨大な設備、そして豊富な人員やノウハウが必要です。

ノウハウはデジタルICの設計過程にも必要ですが、設備という面では比較にならないくらい、製造過程の方が巨大です。

すなわちそれだけの資金力が必要になってきます。

そのため最近はファブレスの半導体メーカーというものも増えています。

これは設計過程と製造過程を分け、前者は自分で手がけるが、後者は設備を持つ専門の業者に任せる、ということです。

この場合、製造を手がける業者をファブあるいはファンドリーなどと呼びます。

ファブレス側は、設計だけでなく、事業管理やマーケティングはもちろん、商品企画、販売、サポートなども手がけるのが普通です。

つまり巨大設備が必要となる製造過程だけをアウトソーシングするようなイメージです。

ファブレス~ファブという関係は、別に半導体産業に限らず、設計と製造の分離ということで、さまざまな工業分野で行われています。

そもそも設備をまかなう資金がなければ、ファブレスという形をとらざるをえない、という現実は確かにあります。

しかしそれだけではなく、もっと積極的に、設備の償却という固定費を持たないがゆえの、ユニークな商品戦略などを立てることも可能になります。

逆にファブ側は、複数のファブレスと関係を結ぶことにより自分の投資リスクを減らし、安定稼動が実現できるというメリットがあります。

ファブレスとファブの役割分担は、ぴったり本資料の14章と22章以降とに分かれるとは限りません。

RTL設計よりも後の工程、すなわち論理合成やマスクパターンデザインなどの部分を、コンピュータを始めとした電子機器の力を借りて行うことを、EDA(Electronic Design Autometion)といいます(RTL設計を含む場合もある)。

このEDAの部分は、ファブレスで手がけることもファブで手がけることもあり、またそのどちらでもない専門業者が手がける場合もあります。

また現在、半導体設計のできるだけさかのぼった段階で、製造上の困難を予測し、それをあらかじめ解決しておこう、という動きがあります。

これがEDA業界で注目されているDFM(Design For Manufactuing)です。

デザインルールが細密化するほど、製造段階で発生する問題は飛躍的に増加します。

それを防ぐためには、設計側と製造側とでできるだけ緊密に意思疎通をはかり、お互いの意図や制約条件などを共有した上で、全体として最適化をはかっていくことが不可欠なのです。

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