フォトマスクの作成
22章で述べたように、フォトマスクはレチクルとも呼ばれ、ウェハー上に描くパターンの原版のようなものです。
ただし回路全体を表現するのに、レチクルは一般に数枚~数十枚必要です。
写真の場合はネガより印画紙の方が大きいのが普通ですが、半導体原版の場合は逆で、レチクルの方がウェハー上のパターンと比べて数倍のスケールになっているのが普通です。
その方がレチクルのゆらぎの影響が少なくて済むからです。
レチクルには通常、厚さ数ミリメートルの石英(ガラスの一種で透明)の基板を使います。
一方、そこに描かれるパターンには、光を通さないクロムなどの金属が用いられます。
具体的には、この後のリソグラフィ工程とよく似たプロセスを踏みます。
まず石英に、クロムの遮光膜を全面にかぶせます。
そしてさらにその上に、電子線レジストを、やはり一様に塗布します。
そしてマスクの設計データ(コンピュータのCADデータ)に従い、電子ビームを二次元的にコントロールします。
その結果データ・パターンの通りに電子線がマスクに当たっていくわけです。
すると当たったところは電子線レジストが変化します。
その後クロムを溶かすわけですが、電子線レジストが当たったところでは、クロムは溶けません。
そのクロムだけが最後まで残り、パターンとなるわけです。
なお、逆に電子線レジストが当たったところのクロムだけを除去することも可能です。
この結果、設計データにノイズがなければ、正しいマスクができるはずなのですが、実際にはさまざまな欠陥がありえます。
それは別途抽出し、集束イオンビームなどで直すことになります。


